顎関節症(がくかんせつしょう)は、顎(あご)や口を動かそうとすると顎関節を動かしている咀嚼筋の痛みや異常を感じる症状、口の開け閉めでカッコン、コッキンというような異音がする顎関節雑音、口がスムーズに開けない支障が出る開口障害、または顎運動異常を主要な症状とする障害をとりまとめた病名です。顎関節症は症状によっては顎が外れることもあります。
一生の内に二人に一人はこの顎関節症を経験すると言われており、年齢層は10代後半から増加傾向にあり、20~30代で患者数が最大化、その後は年齢層が上がるとともに顎関節症のため来院する患者様は減少傾向にあります。
顎関節症の中には、①耳の穴の前の位置である顎を動かす筋肉の痛みを主な症状(咀嚼筋痛障害)、②顎関節の痛みを主な症状(顎関節痛障害)、③顎関節の中の関節円板※1のずれが生じるもの(顎関節円板障害)、および、④顎関節を構成する骨に変化が生じるもの(変形性顎関節症)などの症状があります。
(※1 関節円板とは、顎関節の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている組織です。)
顎関節症の主な原因は、①歯並びや噛み合わせが悪いことによる顎関節への負担、②顎関節が生まれつき弱いなどといった問題、③心理的な負担による日常生活におけるストレスの蓄積が原因の顎の回りの筋肉が緊張した結果起こる、④事故などが原因の外傷によるもの、などが当てはまります。
また、特別な理由が無くても日常生活での小さな習慣の積み重ねや、口や顎を動かすうえでの小さな癖なども顎関節症の原因となり得ます。
顎関節症の症状は、顎の関節(耳の穴の前の位置)や顎を動かす咀嚼筋に不具合が起きます。「顎が痛い」「顎から異音がする」「口が開かない」異常の3つの症状が顎関節症の三大症状とされます。
この顎関節症は放置すると顎の形が変形し、大がかりな治療が必要になるものもあります。顎の動きに不調を感じたらクリニックを受診することを検討してみてください。
● 顎が痛む方(顎関節痛・咀嚼筋痛)
● 顎を動かすと音がする方(顎関節雑音)
● 口が開かない方(開口障害)
このようなお悩みがあれば、当院にご相談ください。
「歯ぎしり(ブラキシズム)」「食いしばり」「TCH(歯列摂食癖)」「姿勢の悪さ」など上下の歯が非機能的な接触を生じている状態などの悪習慣(悪い生活習慣)を抱えていることを本人に認識させ、それらを改善できるように行動させる。
筋肉のマッサージや顎を動かしたり、開口練習をして、口の開きをよくする。筋肉や靭帯などの柔軟性や伸縮性を改善するためのストレッチ、顎関節の動きをよくして開口量を増やすための下顎可動化訓練、疲れやすい筋肉を鍛えて耐久性を向上させるための筋力増強訓練。
薬を投与することにより、顎関節・咀嚼筋の炎症を鎮めて痛みをとる効果が期待できる。症状に応じて、薬の種類や服用方法を調整する。
この薬物療法は顎関節症の症状を軽くすることを目的とする対症療法ですが、根本的な治療としては生活の癖を修正するための認知行動療法や、運動療法を用いることが望ましいです。
スプリント療法とは、マウスピースを使用した治療方法です。当院では、上顎に装着するタイプを採用しています。全歯列を覆うことで、睡眠時の歯ぎしりや食いしばり、咀嚼筋の緊張の緩和や顎関節部への負荷の軽減ができます。
顎関節症についてご説明をさせていただきます。患者様の症状をお聞きした後に、顎関節、口の中の状態を拝見いたします。
ご相談だけでも構いませんので、お気軽にご来院ください。
顎関節の動きや状態、開口量、噛み合わせの状態を調べます。どのように顎関節症の症状が始まり、どのように変化をしてきたかカウンセリングをします。必要に応じてレントゲン写真の撮影、CTによる骨の異常の有無の検査をおこないます。骨以外の関節や筋肉などの問題については、MRIにより調べる場合もあります。
顎関節症になる原因はさまざまなため、検査結果を元として症状に適した治療をおこないます。
当クリニックでは、噛み合わせ治療、歯列矯正など健康保険適用外の高額な治療、特殊な民間療法的な治療ではなく、多くの歯科大学病院で採用されている一般的な治療を取り入れています。
顎関節の治療として、認知行動療法、薬物療法、運動療法、マウスピースの装着(スプリント療法)などをおこないます。治療は全て健康保険が適用となります。
痛みや開口障害などの症状が緩和され、生活に支障がなくなれば顎関節症の治療は終了です。顎関節症の症状の度合いにもよりますが、治療の開始から約1カ月から3カ月の期間が目安となります。治療後も顎関節の状態を定期的に確認することが大切です。顎の状態を歯科医院でチェックされることをお勧めいたします。