親知らずとは、奥歯の一番後ろにある歯です。10代後半から20代前半に生えてくることが多く、前から数えて8番目の歯です。
由来は、「生えてくるのが遅いために親も知らないから」と言われています。
親知らずが傾斜して、歯肉に半分埋まった「半埋伏」状態では、親知らずの周りが不潔になりやすく、親知らずだけでなく、その手前の歯(第二大臼歯)まで虫歯や歯周病になることがあります。
親知らずの周囲の歯肉が、急に腫れて痛くなることがあり、これを智歯周囲炎といいます。
歯磨きがうまくできていない20~30歳台に多くみられますが、60歳を過ぎても散見されます。
智歯周囲炎が悪化すると、顔の腫れや開口障害、のどの痛みを生じ、さらに首や胸にまで炎症が広がれば、命に関わることもあります。
含歯性嚢胞は、埋まった歯の頭(歯冠)を含む顎骨にできる嚢胞(のうほう)で、下顎の親知らずにもまれにみられます。
嚢胞が小さいものでは、症状がありませんが、大きくなるにつれ顎の腫れや、周囲の歯の位置異常、歯根の吸収が起こることもあります。また、細菌感染を生じるとひどく腫れや痛みを伴うこともあります。
治療法としては、抜歯を伴う嚢胞摘出術を検討します。
親知らずの抜歯が必要とされる基準は下記になります。
● 痛みや腫れがある場合
● 虫歯や歯周病になっている
● 横や斜めに生えていて、清掃が難しい
親知らずの周りは、ブラッシングがしづらく、細菌による炎症を起こし、腫れたり痛みを起こすことが多いです。腫れている状態だと抜歯が難しく、抗菌薬をお出しして痛みが引いた後に抜歯を行います。
また手前の歯との隙間に汚れがたまりやすく、虫歯や歯周病のリスクが高まりやすい傾向にあります。
親知らず抜歯のメリットは、次のとおりです。
親知らずが原因で痛みや腫れが出てしまうリスクがあります。腫れが繰り返すようでしたら抜歯することをお勧めします。
親知らず周辺は、歯磨きが難しく、歯垢がよく残ります。親知らずを抜くことで、清掃性が高まり虫歯や歯周病の予防になります。また、口臭の予防にもつながります。
親知らず抜歯のデメリットは、次のとおりです。
特に下顎の歯が深いところに埋まっている場合に、腫れや痛みが出やすい傾向にあります。
また、下顎にある下歯槽神経という神経近くに生えている場合は、痺れや部分的な麻痺などの症状が出やすいため、術前にCTによる3次元的な診断後、安全に抜歯が可能かどうか、精査する必要があります。
親知らずの1つ手前の歯の状態が悪く、将来的に抜歯を行い、ブリッジの支台に使用したい場合や、のちに歯牙移植に使用したい場合などの時は、積極的に保存して行くケースもあります。
当院の院長は大学病院や総合病院で口腔外科の治療に従事していたため、親知らずの抜歯経験が豊富にあり、通常大学病院や総合病院でしか対応できないような横向きや埋伏の親知らずでも抜歯を行うことが出来ます。
ただし痺れや麻痺のリスクが高い場合や、全身疾患によるリスクが高い場合、恐怖心がとても強い場合などの時には、他の病院をご紹介することもあります。
当院は最新のレントゲンやCTの設備を用いて、親知らずの状態や位置を詳しく調べます。事前に検査を行うことにより、治療の精度をあげ患者様にとってのリスクを下げることが出来ます。
当院は表面麻酔や細い針を使用し、痛みを感じにくい箇所に麻酔していきますので安心です。そして術中も、しっかりと麻酔が効いた状態で処置を行っていきます
親知らずの抜歯と聞くと、痛みや腫れにばかり意識が向きがちですが、実際には他にも重要な点があります。その一つが食事です。
親知らずを抜いた後は傷ができます。この傷は顎の骨にまで達しており、そこに細菌感染が生じると、腫れや発熱などの症状を引き起こす可能性があります。
親知らずの抜歯後はしばらくの間、食事に気をつける必要があります。抜歯後はできるだけ柔らかい食べ物を選び、辛いものや強い香辛料のものは避けましょう。抜歯当日はおかゆや雑炊、ゼリーやヨーグルトなどの流動食にとどめ、翌日以降は、うどんやそばなどの柔らかい麺類や雑炊を、抜歯した側と反対側で咀嚼して食べることをおすすめします。肉類はハンバーグなどの飲み込みやすいものを、魚類は柔らかいものを選び、咀嚼しづらい場合はあらかじめ細かくきざんで食べてください。ただし、腫れや痛みがある場合は、しばらく流動食で様子を見るのが良いでしょう。
抜歯の傷は概ね1週間程度で落ち着きます。抜歯後3日程度経過し、目立った腫れや痛みがなければ、反対側の歯で徐々に歯ごたえのある食べ物を食べ始めてもよいでしょう。
また、抜歯後の窩に米粒や食べかすが入ることがあります。これが異臭の原因となるため、食後に軽くブラッシングして取り除くことが重要です。ただし、抜歯当日から3日程度は傷口を直接ブラッシングすることは避けましょう。傷口が広がったり、血餅(血の塊)が取り除かれてしまう可能性があるためです。そのため、抜歯して3日目以降から腫れや痛みを確認しつつ、徐々に普通の食事に戻していきます。
抜歯後はしばらくお酒は厳禁です。お酒を飲むと血流がよくなり、血が止まりにくくなります。特に深い親知らずの抜歯は、周囲の粘膜を剥離し、骨を削除するため出血しやすいです。
血が止まらないと、血が固まらず傷の治りが遅くなります。傷の治りが遅いと、傷口が感染にさらされる期間が長くなってしまいます。同様に、血が止まりにくくなる原因として長時間の入浴や激しい運動なども挙げられます。血流が良くなると出血しやすくなるため、抜歯当日の入浴はシャワー程度にし、激しい運動は控えるようにしてください。
また、タバコに含まれるニコチンは毛細血管を収縮させる働きがあり、これによって血液の供給が抑制され、傷口の治りが悪くなります。
親知らずの状態を診察して、カウンセリングを行います。
レントゲン検査では、親知らずの位置や形態・根の形状などを確認します。レントゲンの撮影後、必要な場合はCT撮影を行うこともあります。
レントゲンの結果に基づき、ご説明いたします。
麻酔を行います。
麻酔が効いた後、抜歯を行います。
場合により、術後約1週間後に抜糸を行い、治癒の経過を見ていきます。
なるべく患者様の心身の負担が少ない様、配慮して行ってまいります。
何か不安なことや、気になる事がございましたら、どんな些細なことでも担当医やスタッフにご質問ください。
A. 親知らずは必ず抜かなければならないというわけではありません。抜いた方がいい親知らずと、抜かなくてもいい親知らずがあります。
痛みや腫れの原因となる場合や、歯肉や粘膜を傷つけている場合など、患者様によって異なりますので、お気軽にご相談ください。
A. 親知らずは18歳〜20代前半頃に生えてくることが多いです。
生え方はまっすぐ生えてきたり、横を向いて生えてきたりと人によってさまざまです。横向きに生えた親知らずによって手前の歯が前に押されてしまい、歯並びが悪くなると唱える方もいますが、現在のところ科学的根拠はありません。
A. 親知らずは歯ブラシが届きにくい一番奥に生えてきます。
そのため汚れ(プラーク)が溜まりやすく、歯肉が腫れたり(智歯周囲炎)、虫歯になってしまい痛むことがあります。また生えてくる位置に異常があった場合、頬粘膜や歯肉を噛むことで痛みが出る場合があります。
A. 下の親知らずの抜歯では、通常抜歯後3-7日間程度、腫れと痛みを伴います。
2〜3日後に腫れと痛みのピークを迎え、その後は徐々に落ち着いてきます。真っ直ぐに生えている上の親知らずの抜歯では腫れることはほとんどありません。
A. 抜歯後の腫れに関しては身体の正常な反応なので基本的に心配は必要ありません。
しかし、抜歯後数日経っても血が止まらなかったり、喉の方までひどく腫れてきた場合は、食事だけでなく呼吸にも影響が出る可能性がありますので、すぐに歯科医院の受診をおすすめします。